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なめがたヒストリー

【オメンイリ】来訪神-ボウボウサマがやってくる!!!【藤井・香取神社】

~行方市の来訪神:仮面・仮装の神々~

お久しぶりです!からすです!
今年もこの時期がやってまいりましたね~♪
秋なので祭りの時期です☆
さて、今回は藤井の香取神社のオメンイリ(通称:ボウボウサマ)を特集したいと思います!
おそらくガッツリ特集するのはこれがネット記事では初めてじゃないでしょうか?
どうぞご覧ください。

香取神社とは…


まず、藤井の香取神社について説明します。
香取神社は現在の香取市の香取神宮から分霊をしてきたというのは確実のようですが、この香取神社ちょっと不思議な点があって、創建がどの段階だかわからない神社になっています。
まず香取神社に設置してある石碑によると…

香取神社内の石

本朝鎮守の棟梁と称へ奉る経津主の大神が、衆庶救済の深きお慈悲をもって、ここ藤井の池の御鎮座して以来1190年の歳月を重ねてまいりました。

 

ここに悠久の昔からの伝統を継承し、現在に生きる者の責務を果たすべく、125代今上天皇即位10年を記念し、老朽化甚だしくなった拝殿の改築を計画いたしたところ、厳しい不況の最中にも拘わらず、改築工事委員を始め、氏子総代、崇敬する氏子の方々の御奉賛を得て、この事業を完遂することが出来ました。

 

そして平成13年10月吉日竣工式を催行申し上げました。

平成15年1月吉日

平成15年(2003)の1190年前は813年。
この石板によると813年創建に見えます。

 

次に、茨城県教育委員会の発行する『茨城県の祭り・行事‐茨城県の祭り・行事報告書』にはこのようにあります。

天文10(1541)年9月19日、香取神社が現在地に移転、遷宮されたのを期に、能楽が奉納されるようになった。

これで考えると、1541年の戦国時代に創建したように見えます。

そして最後に、『茨城県神社誌』をみると…

天文20(1551)年9月19日下總国香取神社の分霊を奉斎。毎年9月19日を祭日とした。

とあるので、1551年に創建したように見ることが出来ます。

 

813年、1541年、1551年創建の3つの説あなたはどうお考えになるでしょうか?色々な創建の説が考えられるのが面白いですね!

オメンイリ(通称:ボウボウサマ)とは…

 

ボウボウサマの内容

 

オメンイリ、通称ボウボウサマ(以下ボウボウサマに統一)とは行方市藤井にある香取神社の祭礼で、毎年10月第3週の日曜日に執り行われます。
おじいさんのお面である翁面(おきなめん)と、おばあさんのお面である媼面(おうなめん)を頭の後ろにかぶり、着物をまとってほら貝の音を先頭にして藤井地区内にある約100軒の家々をお祓いして回ります。

 

茨城県教育委員会の発行する『茨城県の祭り・行事‐茨城県の祭り・行事報告書』にはボウボウサマに関しては、このようにあります。

天文10(1541)年9月19日、香取神社が現在地に移転、遷宮されたのを期に、能楽が奉納されるようになった。

 

その能楽用の衣裳と面を若衆たちが身に纏い、御幣を持ち、法螺貝を吹き鳴らしながら区内各戸をお祓いして廻る行事である。

 

面は「翁」と「媼」の各1面で、衣裳は、「鶴」「亀」「松」が描かれた装束であった。

現在使われているものは昭和61年に寄贈された衣裳である。

お祓いを受けた各戸では白米を一升程度、お礼として出していたが現在はお金を出すようになっている。

戦国時代に能楽用の面を使用した所から始まったということは、おおよそ500年の歴史があるということになります。

平成16年までは地元の青年団によって行われてきましたが、団員減少のため現在は消防団が町内を練り歩くのを担っています。


総代にお話しを伺ったところ、かつてより病除けとしての行事の側面があり、一度中断した時に藤井集落が流行病が蔓延したため、現在にも続いているという話です。

 

香取神社禰宜の宮本さんにお伺いしたところ、ボウボウサマは香取神社の祭神であるフツヌシの神威をまとって集落を回っていて、一年に一度集落の中を代参しているという事だそうです。

 

神様自体が家に来訪するという何とも親切な神様ですね。

平成30年のボウボウサマ

 

ということで、たくさん説明はしてきましたが、結局ボウボウサマってどういうお祭りなのか。写真で見ていただきましょう~!!

今回取材させていただいたのは、平成30年10月21日(日)に行われたボウボウサマです!

朝5時30分…人がちらほら集まってきます。

香取神社の中では準備の真っ最中です。

ボウボウサマではこの2枚のお面をかぶります。

黒い方が媼面、白い方が翁面です。

消防団の皆さんが集まってきます。

朝6時30分から祝詞の開始です。

面を頭の後ろ側に付ける事が正式とされます。

祝詞が終わると幣束を先頭にボウボウサマの出発です。

名前の由来となった法螺貝をボウボウ吹き鳴らします。

家の前でお祈り…

家の中でお祈り…

ボウボウサマが出発した後も祝詞は続きます…。

直会を行い神社での集会は解散です。

藤井集落の約100世帯を回っていきます。これが15~16時まで行われます。

これが藤井の香取神社のボウボウサマです。
神様が自らやってきてくれるなんてすごいですよね(^^)

来訪神について

 

今回なぜこのボウボウサマに注目したかというと、おそらくもうすぐ「来訪神:仮面・仮装神々」がユネスコ無形文化遺産に登録されるだろうなぁと筆者が思っているからです。


この記事を書いているのが平成30年の10月23日…。
おそらくこれを書いた後に行方市にも仮面神行事があったんだと、世界中の来訪神研究者達に注目されることになるでしょう。(おおげさかな?笑)

 

では、まず、今回ユネスコ無形文化遺産になりそうな「来訪神:仮面・仮装の神々」とはなんでしょう?
一般の人にわかりやすく噛み砕いて説明すると、“ナマハゲみたいな神々”の事です。

 

ちょっと詳しく説明すると、来訪神と呼ばれる神は、仮面を被って変装した神であることが多く、一年のうちのある一定の時期に変装してフラッとと現れて人々に幸福をもたらしたり、戒めを授けたりします。

そして、用件が済むとこの神はフラッと帰っていきます。

 

このような形態を持つ祭りというものが日本中に分布しており、これがとても特異行事だと注目されているのです。

現在日本で来訪神行事として国指定重要無形民俗文化財に指定されているのは10件。

 

・甑島のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)
・男鹿のナマハゲ(秋田県男鹿市)
・能登のアマメハギ(石川県輪島市・能登町)
・宮古島のパーントゥ(沖縄県宮古島市)
・遊佐の小正月行事(山形県遊佐町)
・氷川の水かぶり(宮城県登米市)
・見島のカセドリ(佐賀県佐賀市)
・吉浜のスネカ(岩手県大船渡市)
・薩摩硫黄島のメンドン(鹿児島県三島村)
・悪石島のボゼ(鹿児島県十島村)

甑島のトシドン

男鹿のナマハゲ

宮古島のパーントゥ

悪石島のボゼ

以上になります。

ちなみに余談ですが、来訪神マニアの筆者は、この祭りを半分以上行っています。(どうでもいいですねw)

 

この祭りの行われている場所の分布から何か感じる事がありませんか?
実は、どの祭りも中央(京都や東京)から離れた海沿いの辺境の地で行われているのです。

 

つまり一般的な来訪神行事は、海沿いの地域でなおかつ中央から離れた場所で伝承しています。
その点から考えて行方市のボウボウサマはどうでしょう?

 

中央(東京)にも近い場所で、なおかつ海沿いでもない地区で行われています。
これは来訪神行事でもかなり特殊なことです。

 

行方市のボウボウサマについてあなたはどう考えますか?
なぜ、行方市でこのような来訪神行事が行われているのか…不思議なことです。

おわりに

いかがでしたか? ボウボウサマ。
おそらく今回は久々にとてもマニアックだったと思います。


集落でずっとずっと継承されてきたお祭り。
これからもずっとずっと続いて行きますように。

参考文献

・茨城県神社誌編纂委員会 編『茨城県神社誌』(茨城県神社庁 1973)
・茨城県教育庁文化課『茨城県の祭り・行事-茨城県祭り・行事調査報告書』(茨城県教育委員会 2010)
・『玉造町史』(玉造町史編さん委員会 1985)
・上野村教育委員会『上野村文化財調査報告書第4集 国選択無形民俗文化財記録作成 宮古のパーントゥ-野原のパーントゥ調査報告書-』(上野村教育委員会 1986)
・日本海域文化研究所『ナマハゲ-その面と習俗-(「男鹿半島史」別巻)』(日本海域文化研究所 2004)
・東北歴史博物館 編『特別展 東北地方の仮面』(東北歴史博物館 2000)
・和歌山県立博物館 編『奇跡の仮面、大集合!-紀州東照宮・和歌祭の面掛行列-』(和歌山県立博物館友の会 2008)
・坂部恵『仮面の解釈学』(財団法人東京大学出版会 1976)
・中村保雄『仮面のはなし-人間は仮面に何を託し、何を表現してきたのか』(PHP研究所 1984)
・廣田律子 編『アジアの仮面-神々と人間のあいだ』(大修館書店 2000)
・宮嵜和洋「日本における蘇民将来説話の生成と展開」(琉球大学 2011)
・文化庁報道発表『「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた再提案の決定』

◆後日談◆

 

この記事を書いた次の日…2018年10月24日!!


「来訪神:仮面・仮装神々」がユネスコ無形文化遺産に本当に登録されました!!!!
おめでとうございます(*^-^*)

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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