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なめがたヒストリー

月待講の石塔 【先人の願いと痕跡をみつめる】

~石塔と月待講について考える~

すっかり年の瀬となりました!

 

皆さまは今年は良い年でありましたか?

 

どうもからすです。

 

さて今回のなめがたヒストリーですが、少し私の趣味に走ってみようと思います(笑)

 

今年最後のなめがたヒストリーは石塔についてです。

 

皆さんは家の周り、はたまた、道端に置いてある石塔を見たことがあるんではないでしょうか?

 

行方市民であれば石塔を見たことがない人はいないでしょうね。

 

そんな石塔ですが詳しい人は少ないと思います。

 

なので今回のなめがたヒストリーは石塔、特に月待行事の月待塔に的を絞って見方をお教えしようと思います!

月待行事とは…

この月待塔は二十六夜塔です!

こんな石塔見かけたことありませんか?(行方市四鹿)

【月待とは…】


決まった月齢の日に信仰を同じくする人々が集まるのを月待といいます。
本来、月の出を待った行事です。
月待塔関係では如意輪観音の像が彫られていることが多い十九夜講や、勢至菩薩が主神の二十三夜講のほかに、二十六夜・二十夜・十七夜などがみられ、十九夜講については現在の観音講につながるものです。

 

と言っても難しいですかね。。。

 

噛み砕いて言うと『特定の月齢の月夜に集まって皆で仏様の前で飲み会をしていた行事』ということです(笑)

 

この月待ち行事の名残として、行方市内各地に月待の石塔が建っています。

 

これが月待塔です。

 

先ほど冒頭で紹介した四鹿の二十六夜塔以外にもこんな月待塔もあります。

 

月夜見尊(ツキヨミノミコト)の月待塔です。

行方市玉造地区の緑が丘にあります。

月夜見尊の名前が刻まれている大変珍しい月待塔です!

また、行方市内には他にも沢山の月待塔がありますので一度皆さんも探してみてくださいね!

 

それぞれの月待塔の紹介です!

 

【月齢別:月待塔一覧】(飯田道夫『日待・月待・庚申待』より抜粋)

 

・十三夜塔…十三の夜、虚空蔵菩薩を本尊として礼拝、勤行したのが十三夜待で、その供養に建てられたもの。

 

・十五夜塔…十五夜の念仏講中で建てられたものが多く、大日如来、聖観音を刻むものがある。各地に見られるが、全然見当たらない所も多い。

 

・十七夜塔…十七日は七夜待の初日、二十三夜は末日に当たる。

 

・十八夜塔…十八夜の民俗は東北地方に盛行し、塔も同地方に多い。十八夜の民俗で特徴的なことは、正、五、九、十一月の十八日に行われ、餅をついて月に供えることである。

 

・十九夜塔…十九夜講の建てる塔で、如意輪観音を祀る。十九夜講はほとんど女人講で、祈願も安産や育児、婦人の病などが多い

 

・廿(二十)日塔…まれだが、集中して造立されている地域がある。宮城、岩手などが例としてある。

 

・廿一夜塔…二十一夜講も概ね女人講で、如意輪観音を祀るというから、十九夜講と本質的に同じである。

 

・廿二夜塔…内容は十九夜塔とほぼ同じ。塔の分布は十九夜塔と協会をなすという。群馬県のように、女が二十二夜、男が二十三夜と、日を変えて寄り合うところがある。像は如意輪観音が多いが、地蔵を刻む例もある。

 

・廿三夜塔…月待供養塔の中核をなす。二十三夜講は毎月の二十三夜、あるいは正、五、九、十一月とか、正、六、九月、あるいは正月と十一月など、月の組み合わせは異なるが、いずれも二十三夜に行うのを通例とする。本尊は勢至菩薩といわれる。

 

・廿六夜塔…本尊は愛染明王。塔の分布は全国的だが、一県をとっても全県下に広範に普及しておらず、二十三夜待ちほど盛んではなかったようである。


寒さも一段と厳しくなったこの年末、澄んだ空に月が出ています。

 

年末年始ゆっくりした時間で一度月を見上げて歴史に思いを馳せてみるのはどうでしょうか?

 

というわけで、平成25年もお世話になりました。

 

25年のなめがたヒストリーはこれで最後になります!

 

また来年もたくさんの行方市の歴史について書いていこうと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします!

 

皆さま良いお年を!

参考文献

・麻生町史編さん委員会編『あそうの石仏石塔』(麻生町教育委員会 1998)
・戸部民生『日本の神々 多彩な民俗神たち』(新紀元社 1998)
・日本石仏協会編『新板 石仏探訪必携ハンドブック』(青娥書房 2004)
・飯田道夫『日待・月待・庚申待』(人文書院 1991)

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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