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なめがたヒストリー

蔵川地区の奇祭! ナーバ流し

毎年5月24日に開催! 苗植えの終わりを告げる 春の風物行事

春うららかな天気が続いています…

こんなにも過ごしやすい天気が続いていると、気持ちがいいですね。

どうもからすです!

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。

筆者からすはGWにどこも出かけられなかったので、家の竹藪をひたすら開墾していました。

今ではすっかり竹藪もなくなり心機一転、農作業に励むことができます。

 

さて、今回のなめがたヒストリーは蔵川地区の奇祭ナーバ流しについて書かせていただこうと思います。

 

実はこのナーバ流し、今からさかのぼること7年前に一度特集をしたんですが、筆者からすは行ったことなかったんです。

 

しかし、今年は7年越しの夢が叶いましてナーバ流しの取材に行くことができました!

 

今年はナーバ流しの制作から完成に至るまで、すべて密着していますので楽しみにご覧ください☆

ナーバ流しとは…

 

まず、ナーバ流しとは、平たく言うと田植えが終わったという合図です。

行方市の周辺では田植えが終わると『ナーバ流し』と呼ばれる印を建てる風習があります。

 

このナーバとは苗束のことで、稲苗を束にしたものです。

今でもよく見られる光景ですが、田んぼの端っこに苗が捨ててあることがありますよね?

 

この苗は田植えの際に余ってしまった物で、かつてはこの苗を捕植用として使っていました。

余った苗を田んぼの曲がった部分や、端っこに植えていたわけですね。

 

この苗をまだ植えている途中の苗と、植え終わって捨ててある苗を見分けるために田んぼに印を建てたのがナーバ流しの始まりだそうです。

 

その苗植えの終わりの印であるナーバ流しの飾りが色々な形になっていきます。

その中でも特徴的なナーバ流しが、蔵川のナーバ流しです。

蔵川のナーバ流し

蔵川地区とナーバ流し

蔵川集落は旧麻生町の北浦側で、世帯数は90軒弱の集落です。

 

この蔵川で行われるナーバ流しは、稲藁で象った男性器と女性器を合体させて神様の田んぼである神田に祀るという「これぞまさに奇祭!」というお祭りになっています。

 

蔵川のナーバ流しは平日休日関係なく毎年5月24日に行われます。

 

男性器と女性器は、蔵川集落内の御船神社及び寶泉寺の総代となる4人と、指導に当たる者を合わせて7~8人の役員で、蔵川で収穫された稲藁を使用して作るそうです。

 

役員は3年交代で、集落内で制作の仕方が伝承されている様を見ることができました。

ナーバ流しの飾りの制作

ナーバ流し当日は、蔵川集落内に鎮座する寶泉寺に役員の方々が集まるところから始まります。

 

集合時間は朝8時と早く、寺周りの掃除を行いブルーシートを敷いて藁を広げ始めます。

一年間風雨に晒しても大丈夫なナーバ流しを作るために、稲藁の選別から丁寧におこないます。

ブルーシートに藁を広げます。

丁寧に稲藁を選別していきます。

稲藁の選別が終わると早速、男性器と女性器の制作に取り掛かります。

 

男性器は頭の部分をしっかりと編んで丈夫に作っていきます。

女性器は船形に作り上げるため、竹に編みつけていきます。

 

編み終わると男性器と女性器がきちんと結合するか確かめ、仕上げに青々とした苗束を取り付け、陰毛を表現していきます。

二人がかりで丈夫に編み上げていく男性器

竹に編みつけていく女性器

陰毛用の青々とした稲束

きちんとした形なのかチェックしていきます。

しっかりとサイズも合うように作られた男性器と女性器

男性器と女性器が出来上がると、縄で吊るせるように細工をします。

 

また、同時に飾る井戸枠や手桶を作成し、完成となります。

完成したナーバ流しの飾り

神田への飾り付け

飾りを作り終えると、寶泉寺の正面に位置する蔵川の神田へ移動します。

 

神田に着くと、畦道に竹を2本、1.5mほどに切った竹を4本打ち付け、飾りを飾れる場所を作ります。

竹を打ち付け終わると注連縄を張り、いよいよ男性器と女性器をガッチリと結合させて飾っていきます。

始めに竹を打ち付ける。

飾りの中央でガッチリと結合させる。

井戸枠と手桶を飾り、ナーバ流しの飾りが完成すると、塩と酒を男性器と女性器にかけて清めていきます。

塩で清めます。

酒で清めます。

そうして飾りが完成すると、記念写真を撮った後、役員で清めの酒を飲み行事の終了となります。

今年ナーバ流しに参加した役員の方々

清めの酒を飲み一年の五穀豊穣を願います。

こうして完成したナーバ流しは、一年に渡り蔵川の神田の畦道に鎮座し、蔵川地区の五穀豊穣の願いと共に飾られ続けます。

今年の飾りの出来は良いと役員の方々も自慢していました。

Y字の物が手桶の飾り

井型のものが井戸枠

ナーバ流しの飾りは一年間、蔵川地区の願いをもって飾られます。
 

終わりに

 

いかがでしたでしょうか。

蔵川地区に伝わる奇祭ナーバ流し。

 

普段なにげなく生活していると見逃してしまうかもしれませんが、このような人々の願いが込められた飾りというものは至る所にあります。

 

もし道端で何か不思議な飾りに出会った時はこれは何だろうと考え、調べてみて下さい。

きっとその地域に住む人々の思いが分かるものだと思いますよ。

 

しかし、いいお祭りでしたね。

これからもナーバ流しが、蔵川地区でずっとずっと末永く続いていってほしいと願っています。
 

地図

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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