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竹細工職人の吉田さんの工房では「わらびカゴ」が出来ていました。
◆妥協をせず、伝統を守る竹細工職人
竹細工職人である吉田平さんは妥協知らず。伝統を守りながらも、一つひとつの作品に自分ならではのスパイスを加えています。
例えば、何の変哲もないカゴに今どき風のアレンジを加えたり、わらびカゴにアクセントとして虎斑竹(とらふだけ)を加えたり、全体的に見たカゴのバランスが吉田さんならでは!
吉田さんは、昔から実用品として使っていたカゴやザル…等を作っています。
「上には上がいるものでね…」と語る吉田さん。
竹細工職人
吉田 平(よしだ たいら)さん
昭和8年生まれの吉田さんは14歳から、お父様の竹細工の仕事を手伝い今に至っています。 吉田さんのお父様は主に「熊手(くまで)」を作っていたそうです。農家や、漁師が使う道具や日用品などももちろん作っていたそうです。
― 吉田さんはお父さんに竹細工を教えて貰ったんですか?
昔の職人はね、いちいち教えてくれないんだよ。見て覚えるんだよ。技は盗めってね。
私が作る物は、昔ながらのザルやカゴ…昔の生活必需品だね。
私は、この歳になっても、満足した!これは凄くよく出来た!と思った事はないんだよ! 上には上がいるから、満足できないんだよ。
―でも、技術ではなく竹そのものの生育状況にもよりますよね。
まあね、自然素材を使うわけだから竹の育成が悪かったり虫が入っていたりとかも有るにはあるけど、製品として満足することがないんだよ。
それに、人間の身体は物を作る道具なんだよ。
分かるかい。
長さを測るにしても、押さえる・曲げる…自分の手・足・指全部がものづくりの道具なんだよ。
やはり職人さん!奥が深い!!
ものづくりに対しての向上心をいつまでも持ち続ける事が吉田さんの作品に暖かさと細やかな編み方からも伝わってきます。
吉田さんオリジナル『わらびカゴ』
吉田さんオリジナルの「わらびカゴ」
竹ヒゴはそのままだとチクチクするので、道具を使ってなめらかにします。
◆わらびカゴ◆
吉田さんオリジナルの『わらびカゴ』です。
今まで培った技法で作ったかごです。
カゴを作る上で一番のポイントは《腰立(こしたて)》と呼ばれる底の角の部分です。ここがきっちりしていないと全体のバランスが悪くなってしまうそうです。また、至る所に職人の技あり!
例えば、「わらびカゴの手(持ち手部分)」と呼ばれる部分、よく見ると手で持つ部分とカーブしているところの厚さが違っています。火を使うと変色するので火は使いません。また、模様が入っている部分の茶色は「虎斑竹(とらふだけ)」と言って、天然の竹の色です。
竹ひごも「生ぬき(なまぬき)」といって、4~5日間位乾燥させます。キチンと乾燥していないと黒ずみます。
一切薬品は使わず天然の色と風合いを大切にして作っています。
オリジナルのわらびカゴを作るにあたっては、試行錯誤で作ったそうです。
「失敗と怪我は、生きた勉強」と笑いながらゆったりと話してくださる吉田さん。職人気質が伺える一面でした。
竹ヒゴを滑らかにするときに出た削り節のような物の事を「ひげ」と呼びます。
竹は天然の物!中は綺麗ですが外側の部分はこの通り!雨や風にさらされていると、こんなに真っ黒! これを美しくピカピカにするのが…ナント!「海の砂」だそうです。
◆作業風景◆
吉田さんの工房では…
鯉のぼりの竿の先端に付ける「駕籠玉(かごだま)」を作っていました。
「駕籠玉(かごだま)」って…?
鯉のぼりの竿の先端に取り付けてある駕籠玉は行方市内でも見ることが少なくなりました。
この丸い玉は「駕籠玉」「祝い籠」「天球」とも呼ばれています。
《神様が降りてくる目印》との意味があるそうで、《邪気を追い払う》との捉え方もあるそうです。
こうした伝統文化・技術を次の世代に伝えていくのも吉田さんのこれからのお仕事ですね。
長年愛用の道具には持ち手のところに竹が巻いてあります。
今作っている「駕籠玉(かごだま)」のざいりょうです。
竹ひごが足りなくなった部分には竹ひごを足していきますが、製品になった時になめらかで足した部分がわからないほどです。
この部分は「回し(まわし)」っていうんだよ。そしてその上の段の太い方が「帯(おび)」
太い「帯(おび)」の部分一本の竹ひごではなく5本の竹ひごが使われています。
そして「玉(たま)」と言われる飾りを12本挿します。1年12ヶ月を表しているそうです。
「駕籠玉(かごだま)」が飾られている鯉のぼり!
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