なめがたヒストリー
~今はなき行方市の巡礼~
すっかり日差しが強くなってきましたね~。
からすです!
突然ですが昨今“御朱印女子”がブームになっていますね^^
御朱印とは何かと言うと、寺社仏閣で帳面に判子(朱印)とサイン(墨書)をいただけるもので、その寺社にお参りをした事の証になります。
そして同じような利益のある寺社を巡り御朱印をいただいて周る事を巡礼とも言います。
日本の巡礼と言ったら何を思い浮かべるでしょうか。
皆さんが思い浮かべたのは、きっと日本で一番有名な四国のお遍路さんではないでしょうか。
実は、行方市にもかつて巡礼できるコースが存在していました。
それが行方三十四観音です。
現在は無くなってしまったこの行方三十四観音を個人的には「復活してもらいたいなぁ」という感情を込めながら書いていこうと思います。
まず、巡礼とは何かを説明して行こうと思います。
日本で一番有名な巡礼とは何か…先ほども書いたとおり言わずもがな四国のお遍路さんですね!
巡礼といえばこれ! キングオブ巡礼と言ってもいいでしょう!
正式名称は「四国八十八箇所」と言います。
“同行二人”弘法大師と共に四国を巡る、日本一有名な巡礼になります。
皆さんご存じないかもしれませんが、四国八十八箇所には別格二十箇所というものが存在していてこれをすべて巡礼すると四国百八箇所というものになります。
108箇所とは何か。
そうですね煩悩の数ですね。
108の寺院を巡る事によって煩悩が消滅するといわれます。
同じく巡礼で、花山天皇が巡礼したことで有名な西国三十三箇所というものがあります。
なぜ三十三箇所かというと「観音経」という経典の中で観音様は33の姿に変化して人々を救うとされているからです。
この西国三十三箇所は坂東三十三箇所と秩父三十四箇所をあわせて日本百観音といわれています。
33+33+34=100ということですね。まぁ、秩父は1つ多いですけどね。
この日本百観音は100尊の観音様のご加護を得るために日本中を回る壮大な巡礼になります。
日本ではこのような巡礼のほかにもたくさんの巡礼があります。
よくある巡礼では七福神巡りなども有名ですね。
七福神巡りといえば、行方市には常陸七福神で有名な西蓮寺(寿老人を司る)もあります。
このように巡礼とは、神仏の加護を得るために寺社を回ってお祈りする旅のことをなんですねー^^
有名な巡礼をまとめるとこんな感じになります。
江戸時代後期になると、このような様々な巡礼が流行していきました。
しかし、有名な場所の巡礼を達成できる人は、費用や余暇などを生み出せる信仰心の篤い人でないと、とても巡礼できるものではなかったので、全国各所に巡礼できる寺社を定めて気軽に多くの功徳を得ようとしたものの1つが行方三十四観音になります。
行方三十四観音は現在は『という文献からうかがい知ることができます。
文献の中では、次のような寺院があげられています。
「行方坂東巡拝記」慶応四年(1868)
1番 西蓮寺杉村坊(西蓮寺)
2番 宝憧院(玉造乙)
3番 円通寺(次木)
4番 円長寺(両宿)
5番 観音寺(長野江)
6番 地蔵院(鉾田市:串挽)
7番 観音寺(鉾田市:高田)
8番 成田観音寺(成田)
9番 鶴ヶ井観音堂(山田)
10番 円満寺本宿堂(山田)
11番 観音寺円座観音(繁昌)
12番 五社宮(繁昌)
13番 正福寺(中根)
14番 観音寺(小幡)
15番 天掛観音堂(天掛)
16番 普門寺(小牧)
17番 小牧中台(小牧)
18番 大円寺(杉平)
19番 円通寺(青沼)
20番 千住院(矢幡)
21番 文殊院(潮来市:大賀)
22番 吉祥院(潮来市:大生)
23番 観音寺(潮来市:水原)
24番 西照寺(麻生)
25番 慈心院(島並)
26番 嶋並観音堂(島並)
27番 南観音堂(南)
28番 神宮寺(小高)
29番 於下観音堂(於下)
30番 五町田観音堂(五町田)
31番 藤天坊(藤井)
32番 井上観音堂(井上)
33番 一持坊(井上)
34番 平伝寺(手賀)
この行方三十四観音の寺院のラインナップを見ると、不思議なことに2つ気がつきます。
・なぜ行方市だけではなく、鉾田市と潮来市が入っているのか。
・なぜ33箇所ではなく34箇所なのか。
この2点について考えてみたいと思います。
先ほどの寺院一覧を見た時に6番地蔵院と7番観音寺は現在の鉾田市。
21番文殊院、22番吉祥院、23番観音寺は現在の潮来市が入っています。
行方郡の三十四観音なので、行方市外でも潮来市が入るのは分かりますが、なぜ現在の鹿島郡である現在の鉾田市が入るのでしょうか…
それには旧秋津村がキーポイントになってきます。
まずはこちらの変遷図をご覧下さい。
1889年の行方郡と鹿島郡の境界
1889年の市町村の境界
1955年の行方郡と鹿島郡の境界
1955年の市町村の境界
秋津村の位置
キーポイントになるのはこの秋津村という村です。
この秋津村は昭和30年(1955)までは行方郡でした。しかし、昭和30年3月15日に鉾田市に編入され、鹿島郡となりました。
このため、行方三十四観音が成立していた江戸時代は、6番地蔵院と7番観音寺があった秋津村は行方郡であり、現在の行方市であると言うことが分かります。
33観音である理由は上記で述べたとおり「観音経」というお経で、観音様が33の姿に変化して人々を救うからです。
ここでなぜ行方は34観音なのか…
実はこれは筆者も分かりません。。。。。スミマセン。。。。。。。。
「分からないのに記事にするなッ!」というお叱りの声が聞こえてきます…。
しかし結論が分からないのですが、予想はすることができます。
日本にも34観音であるところがあるからです。
それが百観音のゴールである秩父三十四箇所です。
おそらく秩父三十四箇所は百観音で数を合わせるために、ラストだけ1つ足して34箇所になっていると思われます。
ということは行方三十四観音は…もしかすると何か他の百観音のゴールであるのかもしれません。
しかしこれは筆者の予想であって結論を見ません。
この行方三十四観音に関しては、史料が少なすぎて何も検討する事ができないからです。。。
どなたか有力な情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひご教授いただければと思います。
今は消えて決まった文化の歴史の謎。
あなたはどのようにお考えになりますか?
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