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なめがたヒストリー

麻生の宇崎地区嬪野神社祭頭祭

~300年以上続く文字で地区の1年間の歴史を記す伝統を受け継ぐ~

だんだん暖かくなってきて春めいてきましたね♪

あったかいのは大好きです!

 

どうもからすです☆

さてさて、今回のなめがたヒストリーは麻生の宇崎地区3月9・10日と行われました嬪野神社祭頭祭です。

 

宇崎地区は地区にあった300年以上の歴史を文字に記してしっかりとまとめ、地域の団結を強めてきました。

 

その素晴らしさを今回は記事にしたいと思います♪

前置き…歴史学から見る嬪野神社

ちょっと本編に行く前にチラッとからすの戯言を聞いてください。

 

歴史を語る上で分類上大きく三つの分野があります。

それが考古学分野・歴史学分野・民俗学分野です。

大学などで歴史学科で分類するときはこの三つに分類されます。

 

ざっくり説明すると

 

考古学…物質で過去にあった事象を判断する(遺跡などの遺物から)
歴史学…文字で過去にあった事象を判断する(文献資料などから)
民俗学…口承で過去にあった事象を判断する(祭り・昔話などから)

 

ここでからすが専門として勉強していたことが歴史学になります。つまり文献資料、文字で記されたものを根拠に過去にあった事象を判断するものということになります。

 

文字資料というものは日記であったり、帳簿であったり記録されたものになります。

この歴史学を研究する上で最も大切になってくることは「文字資料の質」です。

 

文字資料というものはいわゆる偽書というものがたくさん作れることも特徴で、歴史を改ざんすることが容易に可能です。

 

つまり嘘をつけるということですね。

 

この文字資料の質(つまり嘘かどうか)を決定づけるのが、考古学による証拠や民俗学における証拠になります。

 

この歴史的証拠が合わさった時に初めて一級品の文字資料となります。

 

文字資料の歴史学単体で存在するのではなく、民俗学や考古学とうまい具合に絡まってその土地の伝統は引き継がれていくのです。

 

そして、話は戻りますが、この嬪野神社の歴史はしっかりとした文字資料。

そしてそれに関連する祭礼も付随し、証拠もしっかりしている極めて重要な歴史的価値を有する祭り事と考えられます。

 

その点について説明していきます。
 

嬪野神社について

嬪野神社は、宇崎の集落センターのすぐ側にある階段を上り、奥に行った所に鎮座しています。

 

階段を登って本当に奥にある趣のある神社です。

 

祭頭祭はこの神社を中心に行われます。

嬪野神社の案内板には次のようなことが書かれています。

御祭神として、月読命、武甕槌命を祀り、創建は大同2年(807年)と伝えられ、例祭は3月9日に行われます。

御頭の家に神座を設けしめ縄を張り、氏子代表・町内・親戚が参列して祭典を行い、夜には氏子・若者などにより御頭の家より神社まで祭頭をあげて終わります。


御頭は祭典の執行責任者で、1年間神社の鍵を預かり神前と社内の清掃を行います。
元禄12年(1699年)から記帳を始めた「御頭勤番帳」は、1年も欠かさず現在も記録されています。

 

内容は御頭の受け渡し、天候の順不順、作物や漁獲物の豊凶、穀物相場の変動、流行病の侵入と対策、集落内の出来事などが詳細に記録されているので、歴史や民俗の貴重な資料とされています。

 

(嬪野神社案内板より)

つまりこの祭頭祭の本質は、宇崎地区で1年あったことを記す『御頭勤番帳』という記帳を次の当番(御頭)の家に回すために神を降ろし、祭り事を行うという点になります。

 

この記帳を預かる当家(御頭)には、特別な鳥居と神座を設置します。

御頭勤番帳と当家の飾り物

祭頭祭では当家は特別な飾り物をします。

 

それが松でできた鳥居と特殊な吊るした神座です。

『麻生町史 民俗編』によると、このようにあります。

 

宇崎のオカケ
宇崎では毎年3月10日の朝に、その年の当屋(大頭)の家に戸主が集まり神座と鳥居を作る行事がある。
神座は床の間前方上部に設置し、鳥居は神座正面の庭にたてる。家の神棚は仏壇の近くにあるから神座を新たに作らなくてはならないという。出来上がった神座と鳥居のボッチに神主が幣束を立て、大頭御七五三をあげの儀式を行うと神が宿るとされる。ボッチは稲藁で作られており年神様の台によく似ている。これらのつくりものは年配者が担当しており、それを組み立てるのは若年者である。

 

神座
神座は柳の枝21本を麻で簾に編んだもので、ここに神様が宿る幣束をさしこんだ年神様と似たボッチ状の台をのせる。床の間の天井から吊り下がるように固定し、これを取り囲み隠すくらい藁の元をたくさん出したしめ縄をかける。

 

鳥居
神様はこの鳥居を通ってやってきて神座に宿るという。
角柱を土に埋めそこに松と竹をくくりつけ鳥居の両柱とし、その根元を荒縄1本で上から3・5・7回りして結わえてつくる。背丈くらいの位置に松と竹それぞれ2本を横に渡して荒縄で縛る。その中心に神座と同様のボッチ状の代をのせてくくりつけ幣束を立てる。

鳥居です!迫力がありますね!

ここから入って神様が神座に向かいます。

神座です。ここに神様を宿します。

『麻生町史 民俗編』にあるボッチというものは、鳥居や神座の中心にある傘のようなタコのようなこの形のものに幣束が刺さったものです。

 

ここに神を祀る古来からの伝統が見受けられます。

 

さて、宇崎地区の当家に引き継がれる重要なもの。それが『御頭勤番帳』です。

 

今回は特別に当家の方に拝見させていただきました。

 

風呂敷に包まれた木箱でこの中に『御頭勤番帳』が入っています。

300年以上の長きにわたって宇崎の歴史が記された記帳が入る箱。

代々の歴史を感じます。

『御頭勤番帳』に歴史の厚みを感じます。

『御頭勤番帳』は写真のようなもので、箱の中に入っています。

 

過去の『御頭勤番帳』は行方市の文化財にも指定されています。


 

この『御頭勤番帳』は宇崎地区の7つの組である竜神組・荒野組・下向組・中郷組・上向組・願仁坊組・宿組を1年交代で回ります。

 

この組は約10~15件が1組としてまとまっていて、そのなかでも当家を順番に回すので、宇崎地区で『御頭勤番帳』の当家が回ってくるのが約80年に1回というそれはとてもとても長いスパンでのリレーとなります。

 

当家として順番が回ってくると、1年間宇崎で起こった様々な事柄を書き記していくことになります。

祭頭祭と宇崎三切の太鼓演奏

3月10日の夜、集落センターに集まった後に各所を回り太鼓演奏を奉納します。

 

この太鼓演奏の曲を三切(サンギリ)と言い、宇崎の男たちの盛り上がりはピークに達します。

太鼓演奏は20:00に集落センターを出発して以下の順路で回ります。

 

(平成27年の順路)

集落センター⇒当家⇒嬪野神社⇒天神様⇒区長宅⇒水神様⇒宇崎天皇様⇒議員宅⇒観音様⇒集落センター

 

では、その様子をご覧いただきましょう。

宇崎の集会場で宴を催します。

まずは集会場で太鼓演奏の奉納です。

思わず歌いたくなるこのリズム、年1度のお祭りの出発です!

男たちの太鼓姿かっこいいですね!!!!

しっかりと師匠が見守っていました(笑)

ラスト!観音様への奉納!

終わりに…

いかがでしたでしょうか。宇崎地区嬪野神社祭頭祭。

 

300年以上の長きにわたって受け継がれてきた伝統、歴史、そして確たる記録。

自らの住む地域というものに郷土愛がないとできないことだと思います。

 

この素晴らしい祭りがこれからもずっとずっと長きにわたって続きますように。

宇崎地区の安寧と繁栄を願っています。

 

取材にご協力くださいました宇崎地区の皆様!!!ありがとうございました!


参考文献

『麻生町史 民俗編』(麻生町史編さん委員会 2001)

 

協力

宇崎地区の皆様
嬪野神社氏子講中の皆様
宇崎三切保存会の皆様

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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