なめがたヒストリー
~水難予防行事?~
平成26年も早いことで年の瀬ということで、みなさま今年一年はいかがでしたか?
どうも!!!からすです!!!
いやー私は今年から消防団に入ったりして、色々新しいことがあった一年でした!
さて、今年最後のなめがたヒストリーは、玉造の荒宿地区に伝わるかわびだり行事です!
荒宿地区では12月になると霞ヶ浦に住む河童さんにご飯をあげます。
さて、この真相とは…
今年最後のなめがたヒストリーをお楽しみください!
荒宿地区で取材をしたところ、現在はかっぱもちと呼ばれているこの行事。
霞ヶ浦で漁をする人たち、つまり漁師が行っている行事ということで、荒宿地区でも霞ヶ浦湖岸に面した十数件しか現在は行っていないそうです。
おそらく水難除け行事と思われますが、真相はわかりません。
荒宿地区のかっぱもちは、現在は12月1日の朝に白い豆大福を二つ霞ヶ浦に投げて河童にご飯を与えます。
様々な人に聞きましたが、なんでこの行事をやっているのかは誰もわかりませんでした。
昔は白い普通の丸餅を2つ投げていたそうですが…最近は河童がグルメになったから丸餅も大福に変容したそうです。
河童がグルメになるとは面白い話ですね(笑)
河童さんのご飯の大福です。
勢いをつけて…
そーーーーれ!!!!
河童さんご飯だよーーーー!!!!!!
さて、荒宿地区のかわびだり(かっぱもち)行事はなぜ行っているかはわかりませんでしたが、栃木県さくら市には類似行事でかぴたれ餅という行事が行われています。
かぴたれ餅の詳細はこのようになります。
むかし、川に河童が住みつき、その災いを防ぐため、毎年12月1日に村の娘1人を人身御供に出していました。
ある年に、おじいさんと2人暮らしの気立てのいい娘がグジで人身御供になることになりました。おじいさんと娘は毎日泣き暮らし、とうとう12月1日がきました。
娘はおじいさんのことを村人たちに頼み、たった1人で川に向かいました。おじいさんは「娘が河童に食べられるぐらいなら、いっそ2人で死んだ方がましだ」と、餅に毒を入れ、それをお盆に載せて娘の後を追いました。
おじいさんの方が先に川に着くと、その先に恐ろしい姿の河童がいました。その姿を見たおじいさんは手足が震えてしまい、お盆の毒餅を川に落としてしまいました。そして落ちた毒餅を河童が食べてたところ、河童は川の中で毒が回って暴れ苦しみ死んでしまいました。
思いがけなく河童が退治でき、それ以来、「2度と河童が来ないように」と毎年12月1日に「水神様にあげます」と言って、餅2切れを川に流すことが行われていきました。
(さくら市HPより抜粋)
この話を考えると、おそらく荒宿地区のかわびだり(かっぱもち)行事とおそらく同じ話と考えられます。
さくら市では、このかぴたれ餅の話は水難除けや水神信仰の行事となっています。
この行事で流された餅を焼いて食べると、腹痛にならない、風邪をひかない、虫歯が治るとされていたそうです。
そして、さくら市では、この行事で餅を食べるということから、お正月は餅を食べず、餅の代わりに赤飯を食べるそうです。
面白いお話ですね。
茨城県土浦市沖宿地区・田村地区
12月1日に水神様に餅を供えたと言います。
茨城県土浦市手野地区
12月1日に橋に二つ重ねの餅に餡をのせて供えたと言います。昔は境川に入ったと言われます。
茨城県土浦市神立地区
12月1日に橋から餅を流し、下流で竹でつついて食べたといいます。
このように霞ヶ浦付近の川でも類似行事が行われています。
おそらく「かわびだり」や「かぴたれ餅」の類のものでしょう。
今年最後のなめがたヒストリーでした。
私も最初このかわびだり(かぴたれもち)を聞いたときは何だかわからなかったのですが、調べていくうちに民俗的に広がりを持つ行事だということがわかりました。
伝統行事というものは理由がなくてもそれなりには続いていくものではありますが、やはり行事の理由が分かると愛着も湧きますね。理由を知った上で伝統を守るというのは、後世に残す為には大切なことです。
また、行方市にはたくさんの河童の伝説が残っています。水との関係が生活に欠かせなかった地区だけに水に対しての信仰がたくさんあったのでしょうね。
地元の伝統行事を通しながら歴史に思いを馳せてみるのもいいもんです。
大切な伝統行事。みんなでこれからも守りたいですね。
ということで今年のなめがたヒストリーはこれにて終了です!
また、来年も行方の歴史についてどんどん書いていきますので読んでくださいね!
それでは良いお年を!
・有限会社 田上造船
・栃木県さくら市役所文化振興係
・行方市観光協会
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。