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なめがたヒストリー

【謎】天狗とは一体何者なのか?

~天狗考~祭り行列の先頭を行く天狗とは

玉造のお祭りの記事からバトンパスを受けまして、今月のなめがたヒストリーは天狗の記事を書こうと思います。

 

【該当記事↓】
◇大宮神社例大祭◇ 玉造のおまつりが開催されました


どうも、からすです。

さてさて、天狗についてなのですが、皆さまもお祭などでよく目にする機会があると思います。

この天狗について、今回はちょっと掘り下げて書いてみようと思います。

歴史から、天狗をひも解いてみましょう

天狗:『山海経』より抜粋

まず、天狗とは何者なのか。ということで、天狗の歴史からたどってみたいと思います。

天狗とのい初出は古くは、紀元前4世紀頃?の中国の『山海経』という地誌に登場します。

 

当時の天狗は読んで字のごとく、「天を駆け巡る狗(いぬ)」でした。

天から落下する火球を象徴したものであったと考えられます。

この頃は、今の天狗の姿とは似ても似つかぬ姿ですね。

上記の挿絵からもわかるように、天狗の姿は最初は本当にただの犬です。

 

これが中国から日本に伝わってきます。

日本での天狗の初出は時代は下り、『日本書紀』舒明天皇9年2月(637年)の事です。

彗星の記事の中に登場します。

【原文】
六年秋八月、長キ星南ノ方ニ見ユ、時ノ人彗星ト曰フ。
七年春正月、彗星廻テ東ニ見ユ。
九年二月二十三日、大イナル星、東ヨリ西に流ル。スナハチ音有リテ雷ニ似タリ。時ノ人曰ク、流星ノ音ナリ。亦曰ク。地雷ナリト。是ニ於テ僧旻曰ク。流星ニ非ズ。是レ天狗ナリ。其ノ吠ユル声、雷に似レルノミ。
十一年、長星西北ニ見ユ、時ニ旻師曰ク、彗星ナリ、見ユレバ即チ飢ス。
(『日本書紀』 舒明9年2月(637年))

 

【口語訳】
633年8月、南方に長い星が見えた。これを彗星という。
635年1月、彗星が東のほうに見えた。
637年2月23日、大きい星が東から西に流れた。雷のような大きい音がした。みな流星や地雷の音だといった。これについて僧旻は「あれは流星ではなくて、天狗の吠える声で、雷に似ているのだ」と言った。
639年、西北に長い星が見えた。僧旻は「あれは彗星で、見たら飢えてしまう」と言った。

上記からわかるように、旻というお坊さんが天狗について語っています。旻は留学していた僧侶なので中国の文化や経典に非常に詳しい僧侶です。
ここでは、天狗を吠えると表現していることから、『三海経』に出てくる天狗を想像し説明していたものと推測できます。

 

これが日本における天狗の初出です。

なぜ、天狗が列の先頭を歩くのか?

大麻神社例大祭にて神輿の先頭を歩く天狗

さて、話を戻しまして、ここでなぜ、天狗が列の先頭を歩くかということですが、これは日本神話に登場する猿田彦命と天狗が習合したことに大きく関係しています。

 

猿田彦命は、どういう神かといいますと、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が高天原に天孫降臨するときに神様の列の先導に立って列を導いた神と言われています。

 

猿田彦命の姿は鼻の長さは約126cm、背長は2mを超え、目が八咫鏡のように丸く、またホオズキのように赤く照り輝いていたといいます。

この猿田彦命のイメージは、現在の天狗の姿のイメージそのものですね!

 

天孫降臨の時に天から瓊瓊杵尊を連れてくるという猿田彦命のイメージと、天を縦横無尽に駆け巡る天狗のイメージが一致習合し、みなさんがよく知る天狗のイメージになったと考えられます。

 

つまりは、現在の猿田彦命=天狗という考えにつながっています。

この考えを浸透させたのは山伏(修験者)の力が大きかったと言えます。

山伏は天に近い山の上で修業をする身であるため、天に近い存在である猿田彦命や天狗を信仰するに至ったと考えられます。

 

これを踏まえ、天狗の装束に注目してもらいたいのですが、大概の天狗は修験者、つまり山伏の格好をしています。

これは後の時代に天狗が修験道と習合することによって、発生してきたものと考えられます。

 

現在の天狗の格好は、山伏の影響だったんですね。

まとめ

大宮神社例大祭においての天狗

つまり天狗は中国で誕生し、日本神話の猿田彦命と習合し、その後、修験者たちによって広められた日本特有のハイブリットされた神であると考えられます。

 

この天狗が現在に伝わり、日本神話の中で瓊瓊杵尊を先導したように、様々な神社の神々が、神輿で渡御する時に先導の役目を司っているのだと考えられます。

 

ただ、神輿の前を歩いているわけではないんですね~。

生活の中に密着した何気ない天狗という存在も実は紐解いてみるととても興味深いということがわかります。

 

みなさんも、身の回りの何気ないものに歴史を感じてみてください。

参考文献

・『天狗考 上巻』(知切光歳 涛書房 1973)
・『国史大系 日本書紀 後篇』(黒坂勝美 吉川弘文館 1973)
・『抱朴子/列仙伝/神仙伝/山海経 (中国の古典シリーズ 4)』(葛洪/劉向/本田濟 平凡社 1973)

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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