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なめがたヒストリー

【大密着】これぞ地域の祭り! 荒宿祇園祭

~老いも若きもみんな一緒に楽しく行う夏祭り~

こんにちは! からすです! 

毎年7月の恒例企画…行方の祇園祭をめぐる!!

 

という事で早いものでこの企画も、もう5回目になります!

 

今年の特集は荒宿祇園祭!

上がぐるぐる回る山車に、船山車で知られる祭りです!

 

今回取材して「交じる」というキーワードで色々考えさせられる祭りでした。

というわけで今回の2日間にわたる密着記事をご覧ください~♪

荒宿祇園祭とは…

 

荒宿地区について…

荒宿地区は玉造地区(旧玉造町)の最南端で麻生地区(旧麻生町)との境の集落で、世帯数は70軒ほどです。

集落全体が霞ヶ浦に面しており、かつては集落の世帯がほぼ漁師という漁業で栄えた漁師町でした。

 

この荒宿地区は、かつて隣の集落の五町田地区と同じ集落であり、「五町田荒宿村」という村で、とある時から五町田村と分かれ荒宿村として成立した村でした。

 

現在でも荒宿地区と五町田地区は類似したお祭りを同日に行います。

 

統注連(とうじめ)について…

荒宿地区内に、統注連(トウジメ)と呼ばれるしめ縄が3か所に設置されます。

この注連縄を張ることを「統注連下し(トウジメオロシ)」といい、本祭の2週間前の日曜日に集合して行われます。

 

特に象徴的なのが五町田地区との境の統注連です。

荒宿地区と五町田地区の統注連は全く違う形をしており、近くにいても異なるお祭りなんだと感じることができます。

五町田地区との境はこの場所です。

天王橋という橋の上で見ることが出来ます。

地区の境が注連縄で分かるというのもおもしろいですね!

荒宿の注連縄(『麻生町史』より引用)

五町田の注連縄(『麻生町史』より引用)

山車には引っかかってしまうのでしっかりと持ち上げて通ります。

祭礼旗について…

祭礼旗の準備は宵宮の朝に八坂神社前に設置されます。

祭礼旗には大正12年と記述があり、約100年使い続けているという事です。

 

この旗を立てるために使う竿はすべて木でできており、先に竹がついています。

とても大きなこの竿は、荒宿地区の誇りだと地区の方が語ってくれました。

クレーンで丁寧に竿を起こします。

しっかりと立ち上がったら祭礼旗を掲げます。

空高くそびえる「奉献祇園祭礼」の文字、圧巻ですね!

半纏について…

半纏は3種類あり、茶色の若連の半纏、青の囃子連の半纏、そして子供たちが着ている黒い斑点になります。

茶色の半纏は地元有志で作成し、青の半纏は地区で作成し、黒の半纏は育成会で作成したものだということです。

 

若連や囃子連と書いてはありますが、荒宿祇園祭では半纏に書かれる役は関係なく祭りに関わっていました。

荒宿の祭りの凄いところは、半纏はこの3種類に統一されていますが、股引とどんぶりはどんなものでもOK!

 

そして私服での参加もOKだそうです。

祭りへ参加するハードルが下がり、とても参加しやすい祭りだなと感じました。

背中の「荒」の文字が映えます。

正面から見てもキマっています!

背中には「祭」の文字!

囃子方の人以外も着ていました!

お囃子と踊りについて…

荒宿のお囃子は、佐原囃子と石岡囃子が混ざっているような不思議な選曲で、さすが中間地点というような印象を受けました。

 

演奏される曲は、石岡の三村流の「三切(さんぎり)」と「ノロ馬鹿」「中馬鹿」「早馬鹿」の役物、そして、「新囃子」。

踊りは3曲、佐原の牧野流の「あんば囃子」「大漁節」、そして山形の花笠に似た「笠踊り」。

石岡の三村流で「ひょっとこ」と「おかめ」があります。

 

かつては、ひょっとことおかめが演目であったそうですが、現在はひょっとこを踊れるのは荒宿地区で本当に少なくなってしまいました…

「これからなんとか子供たちに継承していかなければいけないな」とお話を伺いました。

 

囃子方は大きく分けて、大人だけで演奏する囃子と子供だけで演奏する囃子があり、大人だけの囃子の時は笛方は6本調子の一丁笛です。

 

子供達で演奏するときは、3本調子で大勢で演奏します。

 

笛以外の楽器は中央正面に設置される「おおど」、片側側面に設置される「つけ太鼓」が2張、たまに演奏に加わる「大皮」と「摺鉦」があります。

笛方の音が荒宿地区に響き渡ります。

おおどとつけ太鼓の迫力も満点!

子供の演奏の笛方は大勢で吹きます!

踊りはかわいい子供たちが前でおどります♪

山車について…

山車は屋台の構造は佐原型、上部の回転する構造は石岡型の山車です。


特に注目してもらいたい山車のパーツがタイヤ。


タイヤは大きな松の輪切で、祭礼が終わると木が割れないように霞ヶ浦の水路につけてあります。


宵宮の朝に水路から引き揚げて山車に装着し、しっかりと水洗いします。


また、タイヤと楔の間の遊びがとても大きいことから運行する時の自由度が高い山車とも言えます。


梃子の入れ方は佐原型でも石岡型でも見られない独特なもので、タイヤの軸の上部に刺すようにして使います。


また、タイヤの軸が金属ではなく、木の削り出しだという事もとても特徴的です。


ちょっとタイヤについて熱く語りすぎましたね。


山車の本体は、大天井には榊の木を付け、上部に提灯を200個弱付けます。


上部は高速で回転させることができ、「ぶんまわし」と呼ばれるその回転は圧巻の一言です。

水路からタイヤを取り出す瞬間です。

タイヤをしっかりと洗います。

遊びが多いことが分かります。

梃子棒の使用方法が独特!

直線コースが多いことも荒宿の特徴です。

夜になると提灯が灯り、一層山車が輝きます。

御浜下りについて…

荒宿といえば御浜降り、宵宮の夕方に神輿を乗せた船、役員を乗せた船、囃子方を乗せた船の三隻が霞ヶ浦の中心を目指し荒塾港から出向していきます。


霞ヶ浦沖に到着すると円を描くように7周半回り、漁港に帰ってきます。


かつては夜12時から行っていたそうで、お年寄りたちが「その頃は提灯が夜中の霞ヶ浦にキラキラ光って綺麗だった」と教えてくれました。

神輿を乗せた船

役員を乗せた船

囃子方を乗せた船

霞ヶ浦へ出港していきます。

夕日をバックにした船がとても印象的でした。

神輿と当家について…

神輿は宵宮に八坂神社を立ち、当家(トウヤ)が担ぎ、御浜降りの後、御仮屋へと向かいます。


御仮屋で当家達が寝ずの番をした後に本祭の日に八坂神社へと返ってきます。


地区の方々が神輿の下を通ることによって一年の「健康祈願」「五穀豊穣」と「大漁祈願」のご利益を得られるとされています。


当家が接待する行事が行われるときに提供されるワカサギが「大漁祈願」の印であると教えていただきました。

神輿が立つ前に神職からお祓いを受けます。

神輿の下をくぐり抜けてる人々

御仮屋で神職が祝詞を奏上します。

当家が荒宿地区の安寧を祈願して玉串を奉納します。

当家が神輿が帰ってきた後に接待する様子。

このワカサギが「大漁祈願」を表わします。

オモクについて…

荒宿地区では五穀豊穣を願い「オモク」という行事が本祭の神輿が返ってきたときに行われます。


オモクはセブンイレブンの裏の竹で囲まれた神様の田んぼである「御神田(ゴシンデン)」から収穫したお米を蒸し、神社にあげていたお米と混ぜたものということです。


オモクは女性の行事で、本祭の当日の神輿と還御の時間に女性たちが小さな重箱の中に生米とおひねりを持ち寄り、神社に奉納することによって重箱に入れてもらうことが出来ます。


この行事は不浄のものとされ、男性が関わることや若い女性が触れることは禁止されてきたということです。


現在は地域の元気な女性のお年寄りたちがオモク行事を引き継いで行っていました。

オモクの入ったおひつ

一年間神社にあげていたお米

おひねりの入った重箱

お米とおひねりを納めることによってオモクをいただけるそうです。

おわりに

 

荒宿地区の祇園祭いかがでしたでしょうか?

祭り好きの方に響いてほしいので、ちょっとマニアックにまとめてみました。

 

いっぱい説明はしてきましたが、この荒宿祇園祭で一番感じたことは、ベビーカーに乗った赤ちゃんから小中高生、大人になった男性、お母さん達、おじいちゃんおばあちゃんと…荒宿地区総出で老若男女入り混じって行っているという点が感動しました。

 

筆者も色んな祭りを見てきましたが、子供からお年寄りまでみんなで同じお弁当を食べ、みんなで山車を運行する…アットホーム感がすごいこのお祭り。

 

「これぞ地区のお祭り!」という風に感じました。

お弁当を食べる時は年齢関係なく交流していました。

山車を曳く人々も様々! アットホーム感満載です!

佐原と石岡の祭りの中間であり、麻生と玉造のちょうど境目…そんな地区の中で行われていた祭りは文化も交じり合っていましたが、人々の関係も深く深く交じり合っていました。

 

荒宿地区に生まれた子供たちにこれからも祭りを引き継いで、この素晴らしい人間関係をさらに素晴らしいものにしてもらいたいなと感じました。

 

やっぱり祭りっていいなぁ~。

この笑顔これからの未来に引き継いでいきたいですね!


地図

参考文献

・麻生町史編さん委員会『麻生町史 民俗編』(麻生町教育委員会 2001)


取材協力

・荒宿地区の皆様
・有限会社 田上造船

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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