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なめがたヒストリー

【男子禁制!?】十一面円座観世音縁日

~女性による女性のための伝統行事~

こんにちは! お暑うございます! からすです!

連日の暑さで土日の畑仕事がつらい季節となって参りました。

 

さすがにこの暑さでは草刈りも肥やしをやるのも午前中しか動けないですね…

さて、今回は北浦の繁昌地区で行われている十一面円座観世音縁日に行って参りました!

 

先に言っておきますが、かつて民俗学をやっていた筆者からすとしては涙がでるほど、ものすごく感動するお祭りでした!

 

さて、それでは紹介致します!

十一面円座観世音縁日とは。

まず、北浦の繁昌地区の十一面円座観世音縁日とは何なのかですが、現在は北浦にある繁昌学習センターの隣の観音堂で行われている、繁昌地区にある金仙寺(曹洞宗)の十一面円座観世音の縁日です。

 

金仙寺の住職によると、金仙寺が火災になって現在の場所に移った頃から始まったと言われているそうで、約400年の歴史があるお祭りだそうです。

 

現在は繁昌の中の6つの地区が当番制で持ち回りお祭りの準備をしているということで、今年の当番である両峰組の方々が忙しく作業をなさっていました。

 

下の写真のような所でお祭りをしています!

観音堂です! 雰囲気がある良いお堂です!

中はご供物でいっぱいです!
 

十一面観音とは。

ご本尊の十一面円座観世音様です。

縁日でお祭りされている十一面円座観世音ですが、これは一体どのような仏様なのでしょうか。

 

十一面円座観世音は分かりやすく言いますと、十一面観音と言います。

 

この十一面観音。十一面観音菩薩や十一面観世音菩薩、十一面観自在菩薩などの別名もありますが、今回は文化登録の規定にしたがって総称を呼ぶ場合は十一面観音とさせていただきます。

 

この十一面観音ですが、茨城県内では女性達に信仰されることが多い仏様で、拝むことによって安産や子宝に恵まれると言われています。

 

これを”観音講”や”かんのんさま”と言います。

 

繁昌の十一面円座観世音もこの観音講の一つと考えられます。

 

よって、繁昌の十一面円座観世音縁日は女性による女性の為の縁日であると言えます。

円座とは何か。

さて、円座とは何かなのですが、藁縄で作った座布団のようなものを言います。

 

繁昌の十一面円座観世音縁日では、この円座にお盆の時期に仏様が戻ってきてご利益をいただけるとされています。

 

浄財箱(神社で言うお賽銭箱)の上の鈴についている紐に丸い円座がついています。

 

下の写真が円座になります!

この一つ一つの円座に仏様が座っていらっしゃるとされています。

縁日の様子

先ほども記したように、この十一面円座観世音縁日は女性のお祭りです。

 

夕方から住職さんと五人女人中の方々が和讃します。

今年も地区の女性が安産であり、元気な子どもが生まれるようにとの願いです。


そして日が暮れ始まると繁昌地区の女性が続々と集まってきます。

当日はとっても暑かったのですが、みなさん楽しそうにお話しています★

そして、女性がみんな集まったところで和讃が始まります。

皆、繁昌に住む女性です。こうして一年に一回心を一つにします。

上の動画で皆さんが歌っている曲の歌詞をお教えいただくことが出来ました。

 

以下がそれになります

十一面圓座観世音御和讃

 

唱え奉る十一面円座観世音御和讃に

 

帰命頂禮観世音   三界六道のその中に
誓いぞ深き津澄浦   後の世までも繁昌の
さとに示現の観世音   深き誓願立てられて
円座の上にと立ち給う   衆生済度のその為に
一度歩みを運びつつ   円座迎えしともがらは
難産とては更になし   十月十日のその間
円座の上に現れて   娠める女子のいたわりは
心も言葉も尽くされず   産に臨みしその時は
産所の中に入り給う   大慈大悲の御手をのべ
八葉蓮華を開かれて   生まれる赤子の泣き声も
御恩報謝のその為に   南無や南無やと唱えつつ
やさしき手をば合わすなり   御徳知らざるともがらは
おのが力で産みたりと   思う心ぞ愚かなり
大慈大悲の観世音   娠める女子のその傍を
昼夜離れず附き添うて   けが過ちの無きように
守り給うぞ有り難や   南無や大悲の観世音
願わくばこの功徳をもってあまねく一切に及ぼし
我らと衆生と皆供に佛道を成ぜんことを

 

平成二十五年八月吉日

こうして一年に一度、安産と子宝を願うということが受け継がれているという歴史。

 

姑から嫁へ。母から娘へ。地域の女性から地域の女性へ。

 

神秘的で心が洗われるようでとってもいいお祭りだと思いました。

 

興味が有る方はぜひ来年の十一面円座観世音縁日の宵篭りを訪ねてみて下さい!

 

以下が地図です!

翌日のカラオケ大会と舞踊披露!

さて、前の日とはうって変わりまして、十一面円座観世音縁日二日目は地区のカラオケ大会と舞踊披露などの宴会です!

 

当日は霞ヶ浦の花火大会と日程がかぶってしまっていましたが、こちらも大盛り上がりでした!

観音堂のすぐ横のステージで開催されます!

伊藤市長も挨拶に来ていました!

錦照会さんの舞踊の始まりです!

子どもたちも踊ります!

全員で一緒に楽しく踊ります!

観客からは拍手喝采でした!

花火大会もいいけど、このような地区の行事もとっても楽しくていいと思います!

 

地域のつながりは大事にしないといけませんね!

 

そして地区のつながりを保つ貴重な祭りを守っていかないといけない。そう感じるお祭りでした!!

参考文献

・『北浦町史』(北浦町史編さん委員会 2004)
・田中ひろみ『クイズで入門 日本の仏像』(講談社 2010)

 

取材協力

・繁昌地区の皆さま
・両峰組の皆さま
・両峰女人中の皆さま
・錦照会

錦照会

舞踊サークル

子どもから大人まで気軽に楽しく学べる舞踊サークル♪

行方市山田3281-30

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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